今回は『ピトー管』について解説します。ピトー管はベルヌーイの定理を応用して、流速を測る計器です。先端に小孔が開いたL字型の管です。ざっくり言えば、ピトー管は速度水頭を圧力水頭に変換することで流速を簡単に測ることができています。センサーとしても、目視測定するにしても速度を測るよりも水位(圧力水頭)を測る方が楽です。
ピトー管について話す場合、厳密には総圧管や静圧管などの話が出てきますが、今回の記事では難しい話は置いておいてピトー管で流速を測る原理のエッセンスのみに触れたいと思います。
水の流れの中にピトー管を設置します。図は開水路に設置してみた場合を表しています。管の影響のない点1とピトー管の先端部(点2)の間でベルヌーイの定理を考えます。なお、点2は流速が0になる淀み点になります。これは直感的にもわかる気がしますね。 点1と点2の間ベルヌーイの定理は次の通りです。
実際には補正係数\( C \)をかけて次式で流速を求めます。
つまり水面より上の水位\( h \)を確認すれば、流速が求められます。実用上は圧力センサーなどを使って測定します。 ピトー管は水理学で学習する内容の中では比較的自作しやすいです。校正しないと精度は期待できないですが、ホームセンターの材料でも自作できるので、ぜひ挑戦してみてください。
簡単な四則演算ですが、計算してみましょう。 \(h=20 cm \)、\( C= 0.9 \)のときの流速を求めます。
ピトー管は考え方も計算も簡単なのが魅力的ですね。
今回はピトー管について紹介しました。 今回の記事を書くにあたってピトー管についていくつか調べましたが、最近は素材にステンレス管を使うことが多いようですね。ピトー管というとガラス製のイメージがありましたが、実用上はステンレスの方が都合がいいのかもしれませんね。
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引用・参考文献
(1) 大津岩夫,安田陽一,高橋正行,高橋迪夫,長林久夫,藤田豊:水理学,理工図書株式会社,pp.36-37,2007. (2) 近畿高校土木会:解いてわかる! 水理,オーム社,pp.55,2012.