この記事では、灌漑排水や水文学で登場する「豊水量」、「平水量」、「渇水量」、「最低流量」について取り上げます。難しい概念ではないですが、習った直後は使用する機会はほとんどなく忘れられやすい概念だと思います。復習の参考になれば幸いです。
豊水量、平水量、渇水量、最低流量について説明する前に、まずは流況曲線(流況図)について説明します。流況曲線とは、河川の日平均流量の1年分のデータを降順に並び替えたグラフです。このグラフを使って豊水量、平水量、渇水量、最低流量を求めることができます。少々厄介なのが、参考書によって呼び方が異なることです。重要なのは流量を降順に並び替えたグラフであることです。
豊水量とは流況曲線で第91位の日平均流量です。つまり、1年で91番目に平均流量が多かった日の流量です。ここも少し厄介なところですが、この豊水量として第91位のデータを採用することもあれば、第95位を採用している場合もあるようです。この理由については記事の後半で検討します。
平水量とは流況曲線で第182位の日平均流量です。豊水量と同じく、別の順位のデータが採用されることがあります。平水量の場合は、第185位を採用している場合もあるようです。
低水量とは流況曲線で第273位の日平均流量です。豊水量と同じく、別の順位のデータが採用されることがあります。低水量の場合は、第275位を採用している場合もあるようです。
渇水量とは流況曲線で第356位の日平均流量です。豊水量と同じく、別の順位のデータが採用されることがあります。渇水量の場合は、第355位を採用している場合もあるようです。
最低流量とは流況曲線で第365位の日平均流量です。文字通り1年で一番流量が少ない日の流量です。
豊水量、平水量、渇水量、最低流量は水資源計画などで使われます。灌漑期に農作物を育てるために十分な水量があるか、などを見積もるために使用されます。
例えば、豊水量ひとつをとっても第91位の日平均流量を採用することもあれば、第95位の日平均流量を採用することもあるようです。筆者自身はこれらを実際に業務などで使った経験はないので憶測も含みますが、おそらくは第91位を採用しても第95位を採用しても大勢に影響しないからだと思います。例えば、渇水量を使って水文統計解析により基準渇水流量を求める場合を考えます。このとき母集団の関数をどのように仮定するかによって計算結果は変わってきます。そのため、おそらく第91位を採用するか第95位するかは些細な問題で、どちらでも大きな違いはないのだと思います。同じような理由でうるう年か否かについてもあまり重要でないのだと思います。ちなみに以下のページで水文統計解析について紹介しています。
ひとまずは、降順に並べた日平均流量データのうち、比較的流量が多い日の流量の目安(豊水量)、平均的な日の流量の目安(平水量)、比較的流量が少ない日の流量の目安(低水量)、めっちゃ流量が少ない日の流量の目安(渇水量)である、という理解さえしていれば大丈夫だと思います。
もし、採用する順位が一意に決まっていない理由について詳しい方がいたら、記事の最後にある連絡先までご連絡頂けますと幸いです。
最後に実際に流況曲線を見てみましょう。この流況曲線は長野県上田市の生田観測所の2010年のデータを使って作成しました。
最後までご覧頂き、ありがとうございました。
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参考・引用文献
1) 丸山利輔ら:灌漑排水上巻、養賢堂、2008、pp.30-31. 2) 飯田俊彰、加藤亮 編:農業水利学、文永堂、2021、pp.107-108.